渋谷は今、空前絶後の大改造の時期にある。
たぶん、この駅とその周りの空間に、これほどまでに手間をかけて手を入れるのは、
少なくとも今後100年ぐらいはないだろう。
そう思って、日々の通勤の合間に、シャッターを切っている。
近所の庭先を見るような感覚だと自分では思っている。
いつのまにやら植木の背が高くなったり、
プランターの花が咲いたり、枯れたり、また新芽が出たりといった、
日々の変化を単に見守って楽しむような。
未完成ゆえの魅力。
未完成ゆえの魅力。
さらに、渋谷という街は、群衆に表情がある。
歩く人の性別、年齢、服装、ともすれば国籍も、何もかもばらばらだ。
美しい女性を見かけ、シャッターを切る。
そしてまたファインダーを覗くと、
次の瞬間には疲れ切ったサラリーマンが足早に過ぎ去っていく。
瞬きをする間に今度は、職業不詳の怪しげな若者が
ゆらりゆらりとこちらへ向かってくる。
交差点を我が物顔で渡っていく、自転車に乗ったメッセンジャー。
百貨店の周りにはお金持ちそうな女性がたむろし、
ガード下には、ホームレスたち。
何もかも違う。
渋谷はギャルの街だとか、若者の街だとか言われたのは少し昔。
今はなんの街なのか、よく分からないとも言われる。
何もかも違う人が、工事現場だらけの未完成の街を闊歩している。
それが今の渋谷の、たった一つの、でも他の街にはない魅力。
それが、僕にシャッターを切らせている。
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